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“飛んで曲がらない”を求めて、より自分のスイングにフィットする1本に出合うため大切になるのがシャフトだろう。
ゴルファー自身で手軽にシャフト交換ができるようになり、中古市場でもシャフト単体での取引が活発になりつつある。
ドライバーショットに悩みを抱えるアマチュアがシャフトフィッティングを体験。
伊東和夫さん(東京都・60歳)
ゴルフ歴30年。持ち球はフェードでミスはスライス。アイアンを得意にするシングルゴルファー。重さやフレックスなど、何を基準にシャフトを選べばいいのか、悩んでいる。
ゴルフパートナーフィッティングスタジオ調布店
店長 フィッティングアドバイザー 峯 明宏
あらゆるメーカーのフィッティング資格を持ち、フィッティング歴20年超のエキスパート。「お客様のフィーリングに寄り添ったフィッティング」がモットー。
峯明宏(以下峯) これまでシャフトフィッティングを受けられたことはありますか?
伊東和夫さん(以下伊東) 練習場で開催されるシャフト試打会で打ち比べたことはありますが、本格的なフィッティングは今日が初めてです。よろしくお願いします。
峯 承知しました。それでは伊東さんのプレースタイルについて簡単にお聞かせください。
伊東 平均スコアは80くらい。白ティからですけれど、調子がよければ時折70台も出ます。アイアンは得意なほうですが、ドライバーの飛距離はもっとほしいと思っています。
峯 シャフトはどのように選ばれていますか?
伊東 雑誌やネットの情報を頼りにしています。去年は新しく購入したドライバーがしっくりこなくて、5回もシャフトを買い替えました。重さやフレックス、振動数など何を参考に選べばいいのか分からなくなって、迷宮入りしたんです。
峯 それは大変でしたね。ドライバーに求めるもの、シャフトを変えてどうなりたいか、優先順位を教えてください。
伊東 一番は飛距離ですね。今でもそのためにトレーニングをしています。2番目はつかまり。大きく曲がるタイプではありませんが、スライスのミスがあるので軽減したいです。さらに安定性が高まれば、もう言うこと無しです。
峯 現在のドライバーのスペックと得意というアイアンは何をお使いか教えてください。
伊東 ドライバーは、『タイトリストT Si3』のロフト9度に、シャフトは『ツアーAD DI 5』のSフレックス。アイアンは、『タイトリスト T150』に、シャフトは『NSプロ モーダス3 ツアー105』です。とても振りやすいです。
峯 なるほど。アイアンのフィーリングがよさそうなので、ドライバーもそちらに合わせるようなシャフト選びをしていきましょう。
峯 現在のドライバーの飛距離を計測するとトータル228・7ヤードでした。
伊東 ストレートからややフェード系の持ち球が打てているときはいいのですが、スライスが出ると途端に飛距離が落ちるので、どうにかしたいと思っています。
峯 まずは『ツアーAD IZ』を試してみてください。スペックは同じ5Sです。
伊東 少し振りやすくなったというか、シャープに振れる感じがします。何が変わったんですか。
峯 周知の通り、シャフトの違いはしなり方によるものです。手元から先端まで、硬さを変化させて特徴を出しているのですが、それを細かく設計することで、さまざまなスイングタイプに合わせることができます。
伊東 だからモデル数も多くなるんですね。
峯 モデル数が多いのはスイングタイプに合った1本が見つかるメリットはありますが、選ぶのが大変な一面もあります。ただ、シャフトは大きく2つに分けられると思っています。手元側がしなるか、しならないかです。
伊東 先端や中間部の動きより、手元側にフォーカスするんですか。
峯 シャフト選びで大切にしてほしいのが、気持ちよく振れるかどうかです。手元側のしなりは切り返しなどでしなりを感じやすいポイント。仮に初めてゴルフをするという人でも、手元側のしなりは感じやすく、“振りやすい”の指標になります。伊東さんの場合、アイアンが得意で、今使っているアイアンシャフトも比較的合っているとのことでした。そして、そのシャフトは手元側がしっかりしているタイプ。それに比べると、ドライバーシャフトは手元側がしなるタイプなので、少し硬くしたものを振ってもらったんです。
伊東 なるほど。それで振れる感じがしたんですね。
峯 続いて、さらに手元側がしっかりしている『ツアーAD CQ』を打ってみましょう。
伊東 『IZ』よりも振りやすく感じます。よりシャフトの動きがシャープになったようで……。
峯 飛距離も伸びています。ちょっと話は変わりますが、ドライバーのスイングではどんなイメージを持っていますか。
伊東 一般的ですが、ドライバーはティアップしているので、インパクトでアッパーに当たるようなイメージを持っています。
峯 アイアンはどうですか。
伊東 アイアンはもちろんダウンブローです。左足体重で上からボールをとらえるようなイメージです。
峯 伊東さんのスイングを見ていると、アイアンはすごくいいリズムで振れているんですが、ドライバーになるとそのいいリズムがなくなっているように感じます。切り返しの余裕がなくなり、インパクトで合わせているような、ドライバー用の別のスイングをしているように見えます。
伊東 クラブの長さが違いますし、そもそもドライバーはアッパーに打つものだと……。
峯 ティショットではドライバー、セカンドではアイアン、そして次のホールへ行けば、またドライバーと、2つを交互に打つゴルフではスイングイメージを1つにしたほうがシンプルで簡単だと思います。そして、ドライバーはアッパーに打つというセオリーも最近は少し変わってきています。PGAツアーで戦うプロたちを見ると、ボールは左足の内側にセットし、ダウンブローにとらえているのも珍しくありません。イメージを変えて打ってみてください。
伊東 おぉ! つかまったドローボールが打てました。
峯 ダウンブローのイメージを持っても、実際はクラブが長いこともあって、軌道はややアッパー。そして今どきのヘッドはつかまってくれ、スピン量も極端に増えることはありません。
伊東 新感覚です。
峯 ドライバーシャフトをアイアンシャフトに近づけたのは、同じように振ることが狙い。そして、それでも飛距離を伸ばすシャフトはフィッティングによって導き出すことができるのです。
伊東 実はUSTマミヤのアッタスが気になっていて、同じような動きをするシャフトはどれになりますか。
峯 それなら『ジ・アッタス V2』が近い動きをします。
伊東 フレックスは同じSでいいでしょうか。
峯 キックポイントやフレックスは統一の基準がないので、メーカーによってマチマチです。『ジ・アッタス V2』なら、同じ50グラム台で、フレックスはSXがお勧めです。
伊東 しっかり感があってミスが出なそうです。Xはやり過ぎでしょうか。
峯 真夏の体の動くときならXでもいいかもしれませんが、春秋のベストシーズンに使いやすいのはSXではないでしょうか。夏と冬で2本持つ選択肢もありますが、しなりを抑えたいときは短く持って、反対にしなりがほしいときはヘッドに鉛を貼ってもいいと思います。
伊東 なるほど、参考になります。ちなみに、1人でシャフト選びをする際には、どんな点に注意をすればいいですか。今後のためにもお聞きしたいです。
峯 とにかく気持ちよく振れるものを選びたいですね。球が低くなった、バックスピン量が増えてしまったなどは、ヘッドによっても調整が可能ですから。振りやすいシャフトならスイングがよくなって、ヘッドスピードが上がることも期待できます。
伊東 まずは先入観を持たず、いろいろ試すのが大事ということですね。
峯 ドライバーショットに自信が持てないとゴルフがつまらなくなってしまうと思うんです。自分に合った1本に出合うため、いろいろなシャフトを試してみてください。
伊東 今日はありがとうございました。