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2015.07.02
国内女子ツアーはアース・モンダミンカップまでの17連戦が終了しました。
2週間の夏休みをはさんで、サマンサタバサガールズコレクションレディースからリコーカップまでの20連戦が始まります。
試合数もさることながら、賞金総額の高騰ぶりからも女子ツアーの人気の高さを感じます。
アース・モンダミンカップは女子オープンや女子プロゴルフ選手権と同額、賞金総額1億4千万円という国内最高金額の大会でした。
イ・ボミと李知姫の2ホールにわたるプレーオフも、前半戦を締めくくるにふさわしい白熱した試合展開となりました。
プレーオフを制したイ・ボミはこれで今シーズンの獲得賞金額が、およそ1億318万円。
6月中に1億円を突破するのは史上最速のペースです。
ここから海外メジャーも続々と開幕しますが、ちょっと気になるニュースもありました。
7月最終週に開催される全英リコー女子オープンの出場選手が決定しましたが、どうも出場権を獲得していながら辞退する選手が多いということ。
日本ツアーから出場権を得るには、いくつかの方法があります。
①前年度賞金ランキング1位
②前年度リコーカップ優勝者
③当年度賞金ランキング5位以内(サントリーレディスオープン終了時点)
①はアン・ソンジュ、②はテレサ・ルーが出場権を得ています。
そして③の賞金ランキングを見てみましょう。
1位 イ・ボミ
2位 テレサ・ルー
3位 菊地 絵里香
4位 上田 桃子
5位 成田 美寿々
2位のテレサ・ルーは②の出場権があるので、6位まで繰り下がります。
6位 申 ジエ
ところがこの中で、イ・ボミ、菊地絵里香、上田桃子、申ジエが出場辞退を表明しました。
その理由は「国内ツアーを優先したい」というものでした。
全英女子オープン開催週は、日本では新規大会の大東建託・いい部屋ネットレディスが開催されます。
そしてスコットランドとの移動時間を考えると、前後の週の出場もかなりの強行日程になってしまいます。
前週はイ・ボミが前年度優勝のセンチュリー21レディス、次週は申ジエが前年度優勝のmeijiカップです。
前年度優勝の大会に出たいという気持ちは分かりますが、限られた出場枠のメジャーを蹴ってまで出なければいけないものでしょうか。
菊地絵里香の出場辞退も、国内大会に専念して賞金女王を狙いたい、という他にmeijiカップが地元の北海道開催だから、という理由もあります。
上田桃子に至っては、足のケガを理由にしていますが、リゾートトラストレディスを欠場しただけで、他は元気に試合に出場しております。
出場13試合中、10試合でトップ10入りと惜しい試合が続きながら優勝がまだないので、国内に専念したいというのが本音なのでしょう。
4人の辞退者が出たので、出場枠は4人繰り下がります。
7位 笠 りつ子
8位 飯島 茜
9位 藤田 光里
10位 渡邉 彩香
しかしこの中からも飯島と藤田が出場辞退を表明しました。
ともに国内の試合に専念したいという理由からです。
藤田は菊地と同じように、地元北海道の試合を大切にしたいというものでした。
ここでまた2人出場枠が繰り下がります。
11位 吉田 弓美子
12位 大山 志保
この2人はようやく出場を表明していますので、これで6人の出場枠が決定しました。
本来は①②を除く上位5人ながら、なんと賞金ランク12位まで出場順位が下がってしまいました。
ちなみに賞金ランキングの上位者に出場枠が与えられるのは、アメリカLPGAツアーが上位40名、ヨーロッパLETツアーが上位25名までとなっています。
韓国人の優勝が目立つメジャー大会ですが、韓国ツアーから出場できるのは前年度の賞金ランキング1位ただひとりです。
主催のイギリス女子ゴルフ連盟は日本ツアーに馬鹿にされていると激怒されても仕方ありません。
ここからは全て私見ですが、全英女子オープンがこうして日本ツアーから軽んじられる状況が続いてしまえば、ゆくゆくは出場枠が減らされ、世界のゴルフから取り残されていってしまう危険性があります。
いわゆる「ガラパゴス化」です。
全英女子オープンといえば、かつてメジャー昇格前ですが岡本綾子が優勝した試合です。
近年も宮里藍や宮里美香が上位に入るなど、日本人とも相性のいい大会です。
樋口久子や岡本綾子が海外への道を切り開き、宮里藍が宮里美香が身近なものとした海外メジャー。
それが今、若い選手たちのわがままで閉ざされようとしています。
日本ツアーというのは選手たちにとって、それほど居心地のいいぬるま湯のような環境なのでしょう。
若いうちから活躍し世間の注目を浴び、高額の賞金を手にし、テレビのバラエティ番組に出演する。
確かにシンデレラストーリーかもしれませんが、周りからチヤホヤされてどうにも鼻が伸びているようにしか思えません。
女子プロゴルファーはアイドルではありません。
アスリートであり、スポーツ選手です。
いつか天狗の鼻は折られ、日本ツアーから海外メジャーへ挑戦できなくなったとき、宮里美香や森田遥のように、日本ツアーを経ずに海外へ挑戦するゴルファーが増えていくかもしれません。
ぜひ周りの大人たちが理解させてあげてほしいと思います。
厳しいことばかりを書いたので、最後に美談をひとつ。
今回繰り下がりで全英女子オープン出場が決まった選手のひとりに渡邉彩香がいます。
彼女は今年から大東建託とスポンサー契約を結んでいます。
まさに全英女子オープンと同週に新規ツアーを開催する企業です。
しかし渡邉は契約する際に、「全英女子オープンの出場権を得た場合は、そちらを優先する」という条件の下にスポンサー契約を結んでいました。
この大東建託の英断こそ、大人の対応なのではないでしょうか。