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2015.06.05
ゴルフルールの大原則は「球はあるがままに」です。
ひとたびインプレーとなったボールは、ホールアウトするまで一切触れてはいけません。
OB区域にボールが入る、池に入る、他のプレーヤーの邪魔になる、といったプレー続行に不都合が生じる場面に限り、公正の理念に従って救済処置がとられます。
その際に罰打が付加されることがありますが、本来はプレー続行が不可能にもかかわらず、罰打を払うことでプレーを続けさせてもらえる、というのが罰打の根拠です。
ゴルフという競技は他のプレーヤーではなく、自然と戦っているからこそ、こうした考え方が生まれたのでしょう。
現在のルールでは次のように明文化されています。
規則1-2 球の動きに影響を及ぼす、あるいは物理的条件を変える
プレーヤーは、(i)インプレーの球の動きに影響を及ぼす意図を持って行動をしたり、(ii)ホールのプレーに影響を及ぼす意図を持って物理的条件を変えたりしてはならない。
例外:
1.別の規則によって明確に認められる、あるいは禁止される行為は、規則1-2ではなく、その別の規則に従うものとする。
2.単にコースを保護する目的の行為は規則1-2の違反とはならない。
ボールに触れない、という他に物理的条件を変えてはならない、という条件もあります。
いわゆるライの改善の禁止ということです。
先日のラウンドで同伴競技者が次のようなプレーをしました。
パー3のティーショットをバンカーに打ち込み、バンカーまで行ってみると球のすぐ横にミミズがいました。
えいっとそのミミズを投げ飛ばしてしまいましたが、これは明確なルール違反です。
先日の女子トーナメントでも、似たような行為で鈴木愛がペナルティを受けましたが、ハザード内ではルースインペディメントに触れてはいけません。
その時のブログでも書きましたが、ゴルフルールの理念に則って言い換えると、2罰打を払うことでルースインペディメントを取り除くことができます。
http://www.golfpartner.co.jp/9007/2015/05/24265225.html
「そのまま打ったら、ミミズ死んじゃうよ」と同伴者には言われましたが、そのセリフでとあるプロゴルファーの美談を思い出しました。
そのプロゴルファーとは1940年代から50年代にかけて活躍した、ハリー・ブラッドショーというアイルランドのプロです。
あるトーナメントのあるホールで、ブラッドショーの放ったティーショットはラフに入ってしまいました。
そこはごく浅いラフでボールも浮いており、打つことに特に障害になるようなものはありませんでした。
しかしボールの横まで来たブラッドショーは、高らかに左手を掲げると、アンプレヤブルを宣言してボールを拾い上げ、後方にドロップしてからショットを打ちました。
そのショットは見事にグリーンをとらえ、ブラッドショーは涼しい顔で2パットでホールアウトしましたが、それを見ていた同伴者や記者、大勢のギャラリーは首をかしげてしまいました。
ブラッドショーは周囲からの問いかけに対し、ライが悪くてボールが打てなかった、としか答えませんでした。
気になった記者がブラッドショーのボールが止まったあたりを観察すると、一握りほどの可憐な花が咲いていました。
この事実を再度ブラッドショーに尋ねてみると、キレイな花をなぎ倒す勇気がなかった、花よりショットの方が大切だとは思えなかった、と答えたのです。
1打のペナルティを払えば、いつでもプレーヤーの自由意思でボールを動かすことはできます。(もちろんボールが動かせる範囲には制限がありますが)
70年近く昔のことなので、多分に美化された話でしょうが、こうした逸話もゴルフの魅力ではないでしょうか。
私の一番好きなゴルフ格言をまた書いておきます。
飛距離が自慢の幼稚園。
スコアにこだわる小学生。
景色が見えて中学生。
マナーに厳しい高校生。
歴史がわかって大学生。
友、群れ集う卒業式。
そろそろ中学校くらいには進学したいものです。