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2015.04.27
国内女子ツアーは早いもので8試合が終了しました。
年間で37試合も開催されますが、長く人々の記憶に残る大会もあれば、忘れ去られてしまう大会もあるでしょう。
先週のフジサンケイレディスクラシックは、ゴルファーの記憶に残り語り継がれていく試合となるはずです。
フジサンケイレディスは今年で34回を迎える歴史ある大会で、2006年以降は世界のベストコース100にも選ばれる静岡県の川奈ホテルゴルフコース富士コースで開催されています。
チャールズ・ヒュー・アリソン設計の難コース、海からの強い風、芝目の強い高麗グリーンと、プレーするものには難しく、見るものには興奮を与えてくれるゴルフ場です。
最終日も前半戦はスコアの伸ばしあい、後半戦は風も強まり我慢比べの展開になりました。
特に13番以降は海沿いを進むため難関ホールが続き、大会を盛り上げてくれます。
画像には通常営業時のホールナンバーが振ってあります。
大会では通常の18番からスタートし、17番のミドルホールがフィニッシングホールとなります。
録画をし損ねた方もいらっしゃるでしょうから、プレーの終盤を振り返ってみたいと思います。
名場面の舞台は最終組が17番に来たところから始まります。
最終の2ホールはいずれもバーディが一人だけという、ツアーでも屈指の難しさを誇ります。
この時点で首位は最終組の金ナリ、2つ前の組で18番を回るイ・ボミと松森彩夏が7アンダーで並んでいました。
そして1打差に最終組の市ノ瀬優希と藤田光里、そして1組前の表純子がつけていました。
優勝スコアは7アンダー、プレーオフになるだろう、というのが大方の予想でした。
しかしここから大波乱が待ち受けていたのです。
まずイ・ボミが絶好のポジションからのセカンドショットで、グリーン手前のバンカーに入れてしまったのです。
しかもボールが半分埋まり、左足上がりの強い立っていられないほどの傾斜地にボールが止まってしまいました。
しかし3週連続2位から今週こそはという気持ちも強かったのでしょう、ピン奥2mまでに寄せるナイスリカバリーを見せました。
つぎにピンチに見舞われのは松森です。
2打目はグリーンを捉えたものの、バーディパットを2m以上ショートしてしまいました。
ここまでずっと強気のパットを打っていましたが、決めれば大きく優勝に近づくという場面で手が動かなかったのでしょうか。
そしてこの大事なパーパットも外し、ボギーにしてしまいました。
これでトップは7アンダーで、イ・ボミと金ナリの2人です。
そして鮮やかなバンカーショットを放ち、ピンチを脱したかに見えたイ・ボミもなんとパーパットを外してしまいました。
松森がほとんど同じ場所から打ち、ラインが分かっていたにも拘らずです。
ゴルフの神様はとにかく大会を盛り上げたかったようです。
この時点で金ナリが単独の首位に立ちました。
かわって17番では金ナリがティーショットをグリーンに乗せ、下りの速いバーディパットに臨んでいました。
2人がボギーを打ち自分が単独首位に立っているとは知る由も無いですから、これを決めれば優勝のチャンスが大きくなると思っていたことでしょう。
しっかり打たれたボールはカップを通り過ぎて、2m以上オーバーしてしまいました。
チャンスが一転してピンチに変わりました。
そして返しのパーパットを打ち切れず、金ナリもボギーを打ってしまったのです。
この時点で7アンダーはいなくなり、6アンダーで6人が並ぶ展開になりました。
最初に抜け出すチャンスを得たのは、最終組の1組前の表純子でした。
18番のセカンドショットを、ピンの右奥5mほどにつけました。
フジサンケイの最終日のピンポジションは毎年変わりません。
41歳のベテランにとっては、もう何度も練習してきたバーディパットです。
ところがこれもカップをかすめただけで、バーディ奪取とはなりませんでした。
残すところは最終組の3人だけです。
最終組が3人首位に並んでいる場面というのは、そう滅多にあるものではありません。
さらにすでにホールアウトした3人が、プレーオフに備えてパター練習をしています。
まさか6人でのプレーオフともなれば、日本ツアーでは最多人数記録となります。
最終組の3人のティーショットは全てフェアウェイを捉えました。
そして3人は果敢にピンを狙いますが、一ノ瀬と金ナリは奥のカラーに、藤田は右のカラーにそれぞれこぼれてしまいました。
やはり乾燥してグリーンが硬く、なかなかグリーン面には止まってくれません。
とはいえパターで打てる位置ですので、まだバーディのチャンスはあります。
しかし一ノ瀬と金ナリの長いバーディパットは外れ、最後に藤田を残すのみとなりました。
下りのフックライン。
この日、藤田が奪ったバーディは全てフックラインでした。
最後までゴルフの神様は藤田の味方だったのかもしれません。
藤田のバーディパットが決まったその瞬間、18番グリーンの周りにひしめく多くのギャラリーが歓声をあげました。
打った藤田も弾けるような笑顔で両手を上げると、ツラい時を支えてくれたキャディに飛びつきました。
笑顔はすぐに涙に変わり、藤田のまだあどけない顔がくしゃくしゃになりました。
わずか30分ほどの2ホールで、すばらしいドラマを見ることが出来ました。
しばらくはこのドラマを繰り返し再生して、ゴルフの面白さを堪能したいと思います。