週末に2つ続いた台風が去り、東京は穏やかな天気です。
青空を見ているとゴルフに行きたくて仕方ありません。
さて選手の国内男子ツアー・トーシンゴルフトーナメントは、韓国のI・H・ホが日本ツアー初勝利を飾りました。
通算28アンダーという、72ホールおける最多アンダーパー記録を更新しました。
4日間合計で31バーディというとバーディ奪取率が43%。
まさに驚異的なゴルフでした。
先日の記事でも少し触れましたが、私が今一番注目している選手です。
フジサンケイで2位、東海クラシックで4位と上位に入りましたが、実はそれまで私も全く知らない選手でした。
そこからこの選手のことを調べれば調べるほど興味が湧いてきました。
まず韓国ではアマチュア時代に韓国ジュニアを制覇。
2006年にプロ転向し、2007年末には日本にQTを受験しに来ています。
なかなか安定して上位には食い込めず、シードを確保したのは2011年の1年間だけでした。
今年7月に27歳になったばかりですが、一皮むけたのか遂に初優勝を掴みました。
まず注目すべきはそのプレースタイルです。
今時の選手としては珍しくヤーデージブックを持ちません。
見た目の感覚でほとんど素振りもせずに打っていきます。
緻密にボールの落下点を計算して、というのがないからでしょうか、ティーショットは常にドライバーをマンぶり、セカンド以降もピンしか見えていないようなゴルフをします。
そして破天荒さは練習にもあらわれ、スタート前やスタート後の練習もほとんど気まぐれ。
トーシントーナメントの最終日は、30アンダーを目指したいという言葉とは裏腹に、スタート前の練習はたったの3球。
ショートアイアン、ミドルアイアン、ドライバーをそれぞれ1球ずつ打っただけでした。
最近の若いプロはロボットかコンピューターかのような選手が多いですが、どうもこの選手だけは枠にはまらないようです。
破天荒で攻撃的なスタイルは数字にも表れています。
先週までの公式記録で、ドライビングディスタンスは300.42ヤードでツアー1位。
しかしフェアウェイキープ率は42.81%でなんと111位。
ラフに行こうがなんだろうが、気にせずドライバーを振っています。
そしてバーディ率は4.20で2位、イーグル率も8.20で7位と上位に顔を出しています。
とにかく飛ばして、とにかくピンを狙う。
そしてそのスタイルの影には、パッティング巧者という裏付けがあります。
平均パット数がここまで1.7202と近藤共弘に次ぐ2位につけています。
パットに自信があるからどんどんピンを攻めていくのか、それとも何も考えずに打つと案外パターなんて入ってしまうものなのか。
きっとイップスなんて無縁なんだろうなと思ってしまいます。
最後にI・H・ホのゴルフを象徴するエピソードをひとつ。
それは今年の日本プロゴルフ選手権の最終日です。
この日は21位タイからスタートし、17番まで終わって4バーディ4ボギーで通算2オーバー。
このままでホールアウトしても特に前日から順位も変わらない、I・H・ホにとっては“つまらない”1日だったのかもしれません。
そして最終の18番はグリーンの右手前に大きく池が広がるロングホール。
ギャラリーにその存在感を示すには、2オンしてイーグルを奪うほかありません。
そしていつものようにマンぶりしたドライバーは右のラフへ。
いまさら刻むなんてことはできません。
ここから強引にグリーンを狙うも、なんと池に落とすこと5回。
12打目でようやくグリーンの花道まで行き、そこから乗せて1パット。
14という大叩きを記録しました。
この5回の池ポチャで失った賞金額はおよそ100万円。
それでも気に病む様子がなかったというのだから大物です。
知れば知るほど興味深い選手。
アメリカツアーにはあまり興味がないようなので、もうしばらく日本ツアーでプレーを楽しんでくれることでしょう。